STORY05

父の最期が教えてくれた命の使い方

Chapter2:「自分を生きる」働き方編

突然、難病を患った父

定年退職し、ようやくできた余暇
楽しんでいた父の最期の言葉

グループ経営企画部署では、異動直後は自分の自信の低さから部下にマウンティングをして、部下から総スカンを食らう痛い目には合いましたが、それを克服した後は、これまでの営業経験で得た交渉力とコミュニケーション力を基軸とし、中小企業診断士資格取得を通して得た知識を活かして、 企業全体のグループ経営実現に向けて新たなチャレンジに取り組む充実感に加え、中小企業診断士資格勉強での机上の論理を裏付ける体験を積み重ねていく実感もある。
そんな時期を6年程過ごした頃でした。

父親が、突然難病に罹ったとの知らせが母から入りました。父は、定年退職して1年半が経ち、自分のやりたいことを楽しみながら、悠々自適に活動していたところでした。やっとできた余暇時間を活かして、ようやく軌道に乗ってきたところに起きた突然の出来事でした。

それからは、あれほど元気にハツラツと活動していた父が、見る見るうちにやつれ、寝たきりなってしまいました。父は、やっと訪れた自分のやりたいことを好き放題出来る時間を、難病によって奪われたことが、余程悔しかったのでしょう。私が病床に見舞いに行った折、ふと、こんなことを呟きました。

「なぁ、お父さんは、どうしてこんなことになっちゃったんだろう・・・。」
この言葉は、今も私は忘れられません。この呟きの2日後、父は71歳の若さでこの世を旅立っていきました。

このままだと、
後悔する

余命一年と宣告されたら
何を後悔するか?という問い

この頃、私はグループ経営企画部署での責任ある仕事にやりがいを感じていて、会社に対して誇りも感じていました。だから、このまま定年退職までこの会社で自分の力を発揮していこうと思っていました。

ところが、父の呟きと逝去を目の前にして、私が真っ先に思ったことは「自分のやりたいことを定年退職後まで後回しにしたとしても、その時まで自分が元気で生きていられる保証など何一つ無いんだ」ということでした。

「だとしたら、万が一たった今、余命1年と宣告されたとしたら、自分は何を後悔するだろう?」という問いが自分の中に湧き上がりました。そうすると、その問いに対して、答えが自然とすぐに出てきました。

父が亡くなった2ヶ月後
辞表を会社に出した

もしも、余命宣告を受けたとして「一部上場企業の正社員という一見安心で安全な待遇に安住し、人生の中で挑戦をしなかった。フリーランスとして自力でビジネスの世界で生き抜くという挑戦を後回しにして寿命を迎えようとしている。」これは、このままだと後悔するな。

ハウス食品でのやりがいのある仕事も捨てがたい一方で、まだ試さずにいるもう一つのやりたいこと。それは、
「フリーランスで、自分の力でどれだけビジネスの世界で歯が立つのか?を挑戦する」

これを今生で試してから寿命を迎えたいと強く思い始めました。この想いを強くし、父が亡くなった2ヶ月後に会社に辞表を出しました。

父の生き様が
伝えてくれたこと

生命には限りが有る
だからこそ、悔いなく人生を生ききりたい

父の「生き様」「死に様」が、私を後押ししてくれました。こうして、フリーランスのエグゼクティブ・コーチとして充実感を得られている「今」があります。

生命には限りが有り、いつ終わるかは判りません。父のように思いがけず余命宣告をされたり、突然死去することもあります。だからこそ、与えられている命を大切に生きたいと思いますし、悔いなく人生を生ききりたいと強く願う様になりました。

「人生で与えられた時間、命を大切に生きる。」
これは私自身だけでなく、関わらせて頂くクライアントの方にも、そうした生き方をして欲しいという願いを持って、関わらせて頂いています。

Key Message

人生で与えられた時間、命を大切に生きる