STORY08

家族や友人に支えられ、社会復帰

Chapter2:「自分を生きる」働き方編

無価値な
自分への絶望

社会から脱落したことを痛感
理不尽な罰ゲームを受けている感覚

引きこもっている最中には、テレビのニュースで社会情勢などを見る度に自分が社会から脱落したことを痛感させられて、テレビから目を背けることが何度もあったことを思い出します。

何も生み出さず、稼がず、ただ食べて寝るだけの自分への無価値感にひどく苦しみました。お声がけいただいていた先々の仕事を全てお断りして、これまで積み上げてきた信頼や信用を全て失った自分の不甲斐なさから、絶望感にも襲われていました。

無価値感や絶望感に呑み込まれる一方で、まるで「理不尽な罰ゲーム」を受けているような感覚もありました。この理不尽な罰ゲームに見舞われた代償として、晴れて罰ゲームが終わった暁には、何かしらの知恵や見返りを持ち帰らないと、余りに理不尽すぎて納得がいかないといった気持ちも湧いてきました。

友人や家族の支え、
生まれた決意

自分が引き起こした罰ゲーム
働き方、生き方を見直さないといけない

そうして「社会になんとかカムバックしたい」という焦りばかりが募る私を、友人達が随分と支えてくれました。折に触れて、こちらの具合を確かめるようにラインで声を掛けてくれた友。ただただ、私の泣き言や愚痴を聴いてくれた友。「仕事で転んだのだから、復活するのも仕事に向き合うしかない」と仕事でのチャンスをくれた友。

自分は決して独りでは無いんだなぁと自覚もさせてもらいました。

私は、そういった友人と家族に支えられ、引きこもりは半年で脱出。また、社会活動に復帰できました。但し、何事も無かったかのように元に戻れたわけではありません。当時は理不尽にも思えた罰ゲームでしたが、これまでの自分の考え方や認識、働き方が引き起こしたことなんだと認めざるを得ませんでした。

同じ事を繰り返さないためには。働き方、生き方を見直さないといけないのだと覚悟も決まりました。

自分の感覚を蔑ろにしない

周りの意見に準じて選択する
昇格試験と同じ失敗をしていた

周りの講師仲間からは、よく「君はエネルギッシュで、発するエネルギーが大きいから、多人数に発信する講師が向いている」「1対1の限られた空間では、宝の持ち腐れでもったいない」と言われていました。
「1対多の講師」と「1対1のコーチ」どちらに自分は適しているのかと迷っていた私は、「講師のプロが言うのであれば、自分は講師向きなのだろう」と自分に言い聞かせていました。

しかし、実際にどんなにエネルギッシュで、講師向きの特徴があったとしても、自分の考え方や認識、働き方を見直すとなると、自分は「大人数が苦手なんだ」と認める必要があることは明白でした。

他者からの意見やアドバイスは参考に聞き入れつつも、それを最優先にするのではなく、自分の感覚を大切にしなくてはいけないのだと思いました。30代中盤の私が、上司の意見を鵜呑みにし、自分の意志を込めなかった論文作成で2度に亘って失敗した昇格試験での経験と同じ失敗をここでもしていたのでした。

自分の意志や感覚を決して蔑ろにしないことの重要性を罰ゲームを通して再度突きつけられた気分でした。

人生をもう一度見直す

災難と思える出来事でさえ、
何かのきっかけになる

人間万事塞翁が馬、人生何が起こるかは誰もわかりません。

私にとって、鬱症状発症による引きこもりという思いも寄らぬ落とし穴は、人生をもう一度見直す機会になりました。見直した結果、自分が一番充実感を得られる仕事を最優先させるという道を歩み出し始めることになります。

この経験から、一見災難とも思えることでさえも、何かしらのきっかけになるやもしれないと思えるように成りました。今も私は心に命じていますが、この出来事は、自分の意志や感覚を大事にする選択をすると共に、関わらせていただくクライアントの方にもそうしたスタンスで支援をさせてもらっています。

Key Message

思いも寄らない落とし穴は人生を見直す機会